診療案内 Treatment
訪問診療とは
訪問診療とは、高齢者や足の不自由な方など、お体の理由から通院できない患者様のご自宅に医師が定期的に訪問して診療や口腔ケアを行うものです。現在の日本では健康寿命と平均寿命の間に約10年の差があり、今後加速していく超高齢化社会においてはさらに広がっていくものと考えられます。その10年の中にいる方々への医療の提供が喫緊の課題となっており、その答えの一つとして訪問診療が挙げられます。特に認知症の方では、症状の進行に伴いご自身での口腔内環境の管理も困難となって崩壊の一途をたどることから、適切な、そして継続的な歯科的介入が重要になってくると考えています。
当院の訪問診療
訪問診療では普段の医院での診療とは異なり、使用器具・機材が限られており、場合によっては医科主治医や訪問看護師、地域ケアマネージャーさんとの連携等も必要なことから、外来診療とはまた違った診療の進め方が必要になります。また、治療環境につきましても、一般的な歯科の診療台に座っていただくのではなく、車椅子やベッドサイドでの対応が中心となることから、常に整った環境で診療ができるわけではなく、通常の外来診療とは大きく異なってきます。
自分が病院歯科勤務時代に培った近隣介護施設、病院、在宅への訪問診療経験から、できることは限られていますが、それでもできる方法を考えながら、少しでも妙円寺の皆様のお役に立てればと考えています。
診療の流れ
- ご連絡・ご相談
- 訪問歯科診療の対象者は基本的に疾病や傷病により通院が困難な患者様です。患者様が施設にいらっしゃる場合は施設との連携が、在宅の場合はケアマネージャーさんとの連携が必要となります。患者様ご本人で当院に直接ご連絡いただくか、施設やケアマネージャーさんを介してご連絡いただければ幸いです。
※費用は医療保険や介護保険により定められており、患者様の状態や治療内容によって異なります。
- 訪問日程の調整
- ご家族や介護者などのキーパーソンやケアマネジャーさんのご都合を確認し、両者と調整を行ってから診療を始めることをご本人、あるいはご家族、付き添いの方等にお伝えします。
- カウンセリング・診察
- ご指定の場所にお伺いし、患者様の口腔内を確認します。治療方法をご説明後、診察に入ります。
- 今後のご提案
- メンテナンスや経過観察のご説明をさせていただきます。また、もしご希望があれば施設や介護職員の方向けに啓蒙活動としての口腔ケア等についての研修会もさせていただきます。詳細はお電話(099-208-1438)もしくはお問い合わせフォーム・公式LINEよりご相談ください。
【対応可能地域】
医院から16kmの距離内のところであれば、保険診療にての訪問診療が可能です。保険診療での訪問診療が可能かどうかご不安な場合は、お気軽に当院までお問い合わせください。お電話(099-208-1438)もしくはお問い合わせフォームや公式LINEからも受け付けております。
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必要なもの
歯科治療に際し、患者様の全身状態を把握した上で治療計画を立てる必要があるため、診療時にはお薬手帳をご準備いただけましたら幸いに存じます。健康保険証・介護保険証・負担割合証もあわせてお願いいたします。
よくある質問
- 入所者さんが入れ歯をなかなか入れてくれません。どうすればいいですか?
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お体の健康な方でさえ、入れ歯は人によっては受け入れるのが難しい道具であるので、お体の機能の少し落ちられた施設入所者さん等では、受容困難であることは珍しくありません。できうる限りの調整等の対応を行い、もちろん入れ歯を使用していただけるよう最大限の努力はさせていただきますが、それでもうまく装着していただけない場合には入れ歯の卒業の時期と考え、食事形態を落とす等の対応の方が患者様のご負担も少なく好ましいように思います。
- 入れ歯が入れば、食事をきちんと取れるようになりますよね?
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ご高齢の方の入れ歯に関して、歯医者はもちろんのこと、患者様ご自身やそのご家族、介助者等も含めて、例えば食事がしにくいのは入れ歯が合わないからだとか歯が抜けたままだからだという風についつい考えてしまいがちです。そのため、入れ歯の調整や新しい入れ歯の作成をすれば食事ができるようになるとか食形態が上がるようになるのではないかという期待を持たれて歯医者さんを受診されることが多いかと思います。それもあながち間違いではありませんが、高齢者の場合はそのほかに食事の際に使う舌や頬、口唇、喉の筋力、運動性の低下も一因となっていることがあります。
例えば車椅子を使用されている高齢者の歩行が難しいのは、足がないからとか靴が合わないからという場合も稀にあるかもしれませんが、そのほとんどが足の筋力が低下しているから、あるいは足の運動性が落ちているからといった理由ではないでしょうか。食事をすることもこれと同様で、たとえご自身の歯が残っていても、あるいは良い入れ歯が入っていても、食事をするための筋力が落ちていたり、あるいはそれらをうまく使うことが難しくなっていると、なかなかうまく食事をすることができないものです(パーキンソン病や認知症、振戦のような神経の変性に伴う運動機能の障害を起こす疾患や脳梗塞後等で麻痺が残っているような状態もその一因となることもあります)。そんな患者様に一生懸命入れ歯の調整をしたり、新しい入れ歯を作ったりしても、それを使いこなす筋肉の働きがもともと少し弱ってきていた場合には、なかなかうまく食事をできるようになることは難しいかと思います。
当院では、その方の食事を困難にしている原因をまず探るために、必要に応じて食事の際に使う舌、口唇の筋肉の運動性の検査を行うことがあります。また、これまでにされたご病気や現在治療中のご病気等がある場合にも、お知らせいただけましたら幸いです。その結果を踏まえた上で、運動性に問題がなければ入れ歯の調整なり新製を行えば食事がうまくできるようになる可能性が高いためそれを行い、運動性に問題があれば逆に調整や新製を行なっても患者様が期待するほどの摂食状態の改善が望めるかどうかは難しいところだと考えるので、まずは筋肉の運動性を回復させるようなリハビリを行いながら、徐々に入れ歯の対応も行っていくといったスタイルを取ります。後者の場合には、加齢あるいはご病気による避けられない運動能力の低下といったこともあるので、回復がどこまでできるかは個人差があるため、最終的な目標は咀嚼機能の回復ではなく向上あるいは維持に定め、何でも食べられることを目標にするよりは、口から食べる楽しみをこのまま少しでも長く維持していくことを目標にしていきます。
何れにせよ、その方がなぜ食事に不自由を感じているのか、単純に入れ歯が合わないから、歯がないからというだけなのかをよくよく事前に調べた上で治療に入らなければ、食事のしづらい原因は改善されず、いつまでたっても物が食べにくい状況は変わらないのかなと考えています。また、いくら歯が20本残っていたとしても、食事をするための口周りの筋力や動きが衰えていると、やはりせっかく残っている歯をうまく使うことができずに、食事に難儀するということも最近言われつつあります(足がしっかり二本あったとしても、あるいは人より多く四本ある人がいたとしても、その筋肉が衰えてしまって枝のような細い足ではうまく歩くことができないのと同じです)。そのため、これからの歯科治療としては、ただ残っている歯の本数のみに重きをおくのではなく(もちろん本数も大事ですが)、それに加えて残っている歯をしっかりと使いこなせるように、お口周りの筋肉等口腔機能の維持を行うことがより重要であると考えられています。
- 訪問診療を受けている家族の歯が動くので抜いた方がいいと言われました。高齢になってまで歯を抜くのはかわいそうなので、このまま抜かずに様子を見てあげたいのですが、その方が自分の歯も多く残るし、本人にとってもいいですよね?
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訪問診療で拝見している患者様で、稀に動揺の著しい歯が口腔内に残っていることがあります。基本的にそのような歯の場合は、患者さんの全身状態が許すのであれば抜歯が望ましいのですが、得てしてそのような方はご高齢の方が多く、抜歯のご提案をするとご本人あるいはご家族の方より、こんな歳になってまで歯を抜くのは嫌だ、かわいそうだというお話を承ることがあります。そのお気持ちは十分に分かりますし、いくら動きが著しく、歯としての機能をあまり成していないものであるとはいえ、患者様にとっては大切なご自身のお身体の一部でもあり、できることであれば自分も人としてその想いを何とか叶えてあげたい気持ちになってしまいます。
しかし心配なのは、もし仮にこの動きの著しい歯が何かの拍子で自然に抜けてしまった場合に、多くはそれは食事中に起こったりするのですが、歯が抜けた!とご自身で気付けてうまくお口の外に抜けた歯を出せたらいいのですが、場合によっては気付かずに食べ物と一緒に飲み込んでしまって、それが誤って肺に入ってしまって肺炎の原因となってしまう可能性があるということです。場合によっては喉に引っ掛けてしまって、呼吸苦の原因となる可能性もゼロではありません。一度肺に入ってしまった歯は、基本的には自然に出てくることはなく、取り出すためには全身麻酔で手術をしたりとかなり大事になってしまうため、そうならないようにするために、まだお口の中で見えているうちに早めに残念だけど抜いてあげて、そのリスクをゼロにしてあげる方が、患者様にとっては後々のことを考えると安心なのではないかと考えて、そのような場合には抜歯をご提案させていただく場合があります。
訪問診療は確かに器具機材環境に制限があり、できることが限られていますが、とはいえ、歯科医師としてお口の中を拝見させていただいている以上は、ただ歯磨きをするだけの訪問ではなく、しっかりとそのような今後のリスク等も踏まえた上で、できる方法を考えながらの治療のご提案を、自分の力の及ぶ限りはさせていただければと考えています。