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2024.11.17

院長ブログ

血液サラサラを飲まれている方の抜歯

血液サラサラを飲まれている方の抜歯

血液サラサラのお薬を飲まれている患者さんの抜歯が必要になった場合、イメージとしてはお薬を少しおやすみしてからの抜歯を行うといったものを持たれている方も多いかと思います。

一昔前はそのように対応をすることもあったかと思いますが、現在ではよほど出ない限りは血液サラサラのお薬を続けたまま抜歯を行うとガイドラインに記されています。

お薬を続けたままだと抜いた後、血が止まらなくなることを心配される方もいらっしゃるかと思いますが、内臓からの出血と異なり、仮に血が出たとしてもお口の中であれば直接見たりアプローチしたりすることのできる部分であるし、いくらでも血を止めるための方法はあるし、また患者さんご自身も早期に気づくことができるとともに、よほど何か動脈を傷つけたとかでなければ出血多量で重篤な状態になることは基本的にはないと考えられます。また、血がたくさん出ているように見えても、その実際はお口の中のつばと混じって量が多く出ているように見えていることがほとんどで、実際の出血量としてはそこまでない場合が多いです。これは複数の血液サラサラのお薬を合わせ飲みされている方でも同様で、一種類しか飲んでいない患者さんと複数種類飲まれている方で出血リスクに差はないという報告がなされています。

逆に血液サラサラのお薬をやめてしまうことによって、もともとお薬を飲む必要のあったご持病が悪化したり、何か発作のようなものが起こってしまった場合の方が、取り返しのつかないことになってしまうため、現在ではよほどの出血リスクがない限りは、血液サラサラのお薬はやめる事なく抜歯をするというふうな流れになってきています。術後一過性に抜いたところに近い皮膚に青あざのようなものが稀に出てくる場合もありますが、それも1-2週間で自然と消えていくことがほとんどです。逆にお薬をやめて、抜歯後の出血は起こらなかったけれども代わりに脳梗塞の発作が起こって後遺症が残ってしまいました、では、いつ治るかもわからず本末転倒になってしまい、患者さんにとっても失うものが大きいのではないかと考えます。よく自己判断で、今日は抜歯をするから血液サラサラは抜いてきました、という患者さんがいらっしゃいますが、それこそ場合によっては抜歯後の出血よりも取り返しのつかない大事態を招いてしまう可能性のある危険な行為なので、せめて一言その前にご相談いただけましたら幸いです。(そもそも血液サラサラを普段から飲まれている方では、数日これをやめたからといって出血リスクはほとんど変わらないと言われているのと、逆に血液さらさらの休薬により、脳梗塞の方であれば、その発症リスクが3.4倍ほど高くなると言われていたり、心臓に血栓のある方では100人に1人がそれが脳に飛んで、重篤な脳梗塞を生じる可能性があると言われています。)

それでもやはりご心配はあるかとは思いますので、当院では血液サラサラを継続したまま抜歯を行う際には、止血剤の使用と縫合、そして万が一ご自宅で出血を認めた場合の対処法までお教えして、極力皆様のご不安を取り除けるように心がけさせていただきます。また、抜くタイミングにつきましても、例えば血液サラサラ服用から12H程度経ってある程度体から抜けてきている時間を狙って抜く等の対応を行うことにより、お薬をやめない状態で、極力出血のリスクも減らした対応を心がけていきたいと思います。