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2024.10.28

院長ブログ

むし歯を見つけるということ

むし歯を見つけるということ

患者さんのお口の中からむし歯を見つける、ということは、時としてとても難しく、判断に迷う場合もあります。昔聞いたことのある話で、それは高台から敵の飛行機が飛んでくるのを見張る役割の兵士さんに似ているそうです。

敵の飛行機が飛んでくるのを見張る役割の方は、何かこちらに向かってくるものが、あまりに遠くにあって小さい点にしか見えなくて、それが飛行機なのか鳥なのか判別がつかない段階では、敵の飛行機が来ています!と味方に報告をすることはできません。しかし、かなりそれが近づいて来て、明らかに敵の飛行機だと判別できるくらいまで待っていては、こちらが迎撃する暇もなく敵に狙い撃ちにされてしまいます。つまり、そこまで待っていてはもう手遅れなのです。明らかにあれは鳥ではない、敵の飛行機だと判別できるぎりぎりのライン、しかし手遅れにはならないうちにできるだけ早く敵を見つけて、対策をうっていく必要があります。

むし歯を見つけるときもこれと似ていて、あまりにそれが小さすぎる場合には、むし歯なのかそうでないのかの判別ができない場合もあります。しかし、これは明らかに穴がぼっこりあいていてむし歯だろう、というところまで待っていては、もう手遅れで神経の処置が必要になったり、場合によっては歯を残すことができずに抜歯、ということにもなりかねません。

明らかにむし歯ではあるけれど、そこまでぼっこり大きくはない、まだむし歯をとって詰め物で詰めればしばらくは大丈夫、といったぎりぎりのラインのところでむし歯を見つけ、そして処置を行うのが理想的で、常に患者さんのお口の中を拝見するときにはそのことを念頭に置きながら、敵の飛行機がくるのを見張る役目の兵士くらいの緊張感を持って、しっかりとした診察と正しい判断を行うことを心がけています。