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2024.10.22
院長ブログ
新しい入れ歯を作るということ
患者さんが入れ歯に求めることはそれこそその患者さんごとに千差万別であり、自分たちの考えるいい入れ歯と患者さんの考えるいい入れ歯が、必ずしもマッチしないということはわりとよくあることのように感じます。
ですので、もし仮に自分が入れ歯の修理や新製を行わせていただくことになった場合には、まずしっかりとカウンセリングを行い、今の入れ歯のどういったところが使いづらいのか、どうなればもっといい入れ歯になりそうかなどをできる限りお伺いして、お互いの方向性というか入れ歯に対しての考え方のずれのようなものを、極力すり合わせた上で、処置に当たらせていただく形をお取りします。もちろん、多少なり入れ歯に関しての専門的な知識を持っている者としての意見もお伝えさせていただきますし、患者さんの全ての希望を叶えてあげることは医療としては難しいこともあるかとは思いますが、極力患者さんと自分のお互いが同じ方向性を持った上での二人三脚での入れ歯作りが行えていければ、それが結果として患者さんの利益にも繋がるのではないかと考えています。
とはいえ、人と人なのでやはり全部100%完璧にはすり合わせることが難しいのもまた事実で、その微妙に埋めきれなかったお互いの認識のギャップを、あとは実際にその義歯を使用していただきながら埋めていく作業に入るのが、いわゆる入れ歯の調整を行う、ということだと自分は考えています。入れ歯を作った、あるいは修理をした後も、銀歯等と異なり数回の調整が必要になってくるのは、特に入れ歯のような繊細な道具では、その埋め合わせの作業が必要になってくるからなのです。入れ歯はやはりまず何よりもお食事を美味しくとっていただくための、その補助の道具であるため、仮に僕たち専門家から見て理想の入れ歯の形態でなくても、患者さんがしっかりと使うことができるのであれば、そこをゴールとして寄り添って治療をしていく、というのが、自分の入れ歯に対する考え方です。どんな形であれ、使う方の生活の一助になり、その生活を少しでも豊かにすることに役立たなければ、道具としては何の価値もないので、いくら理想的な形であっても使い物にならないものよりは、どんな形でも患者さんがしっかりと使ってその生活に役立っていただけるような入れ歯作りを目指していきたいと考えています。