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2024.09.15

院長ブログ

処置中の痛み

処置中の痛み

処置中の痛みにつきまして、例えば抜歯や神経の処置等、必ず出るとわかっているような処置の場合には、もちろん麻酔を事前にさせていただきます。

一方で小さな虫歯の詰め物での治療や神経がすでにやられてしまっている場合の根の治療で、必ずしも処置中に痛みが出るとは言い切れない場合の治療に関しては、差し支え無ければはじめは麻酔なしでさせていただけたほうが、より確実に治療ができる場合があります。

痛みというのは、もちろんなければそれに越したことはないし、極力痛みを生じさせないような治療を常日頃から心がけてはおりますが、それと同時に重要な情報の一つでもあり、例えば小さな虫歯を取り除く際に、目で見ただけではどこまでが虫歯かわかりづらいこともあり、その判断を行うために有用な情報の一つとして、痛みがあります。

つまり、虫歯の部分は基本的に歯がばい菌にやられて溶けてしまっているので触っても痛みを感じませんが、健康な部分は触ると痛みを感じることが多く、これを指標として、触っていたくないところのみを選択的に除去して、触って反応のある部分は残す、という方法で、過不足なく虫歯の部分のみをとって健康な部分は残すことができます。

そのほかにも、神経まであとどれくらいの距離があるかのおおよその指標となったり、神経がやられているのか部分的にまだ生きているのかによって治療方法も変わってくるため、その正確な判断を行うことに用いたりと、治療中の痛みというサインは病状を正確に判断し治療を確実に進めるためには重要な指標となってくれます。

これを始めから全て麻酔をしてしまうと、これらの判断に用いるための重要な情報の一つがマスクされなくなってしまうので、その他の情報を頼りに判断していかなくてはならず、少しだけではありますがその処置中の診断の精度が落ちてくるものと考えます。

なので、確実に絶対処置によって痛みが出る、という場合や、麻酔をしなければ処置の遂行は困難と考えられる抜歯や神経の処置等の場合を除いて、少ししみたりとか一瞬だけの痛みをひょっとしたら処置中感じるかもしれない、というような処置の場合には、できましたら最初は麻酔なしでの施行をお願いできれば、より正確な判断と処置が行えるものと考えています。

しかし少しでも痛いのは嫌なのでその可能性があるのであればもうはじめから麻酔をしてほしい、というご希望がありましたら、それは最大限尊重いたしますので、遠慮されずにおっしゃられてください。麻酔をしようか、しないで頑張ってみようか、と判断に迷われるような場合には、自分としましては正確な治療のために麻酔をとりあえずはしないでやってみることをお勧めします。

痛みの感じやすさには年齢的な要素もあって、40代くらいまではまだ歯の神経がわりとしっかりあるので痛みを感じやすいですが、50代以降になると徐々に神経が細くなってくるため、わりと深い虫歯でも痛みを感じにくいこともしばしばです。加えて、ご高齢の方は色々と持病をお持ちの方も多く、できれば麻酔をしないでの処置の方がお体にも優しいのかなとは思います。