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2024.09.13
よくある質問
入れ歯が緩い時には、入れ歯安定剤を使ってもいいの?
入れ歯がゆるくてお食事がしづらい等の場合に、いわゆるポリグリップ等の入れ歯安定剤の使用を考えられた方も多いのではないかと思います。
部分入れ歯である程度ご自身の歯が残っていらっしゃるような場合では、入れ歯のバネを締める等の対応を行うことにより、おおよそ解決をすることができますが、総入れ歯となると、そう簡単にいかないこともしばしばあります。
入れ歯が緩い場合、一番考えられるのが、土手が入れ歯を作った頃からだんだん痩せてきて入れ歯の形と合わなくなっていることによるもので、その場合、土手が痩せたことによってできた入れ歯との間の隙間を材料で埋めてあげることによって、ある程度の入れ歯の安定を得ることができます。
ただし、隙間を埋めるということは、言い換えれば今まで当たっていなかったところが当たってくるようになる、ということになるので、材料で埋めた後、入れ歯は動かなくなったけれど今度はどこかしらにあたりが生じて痛くて噛めない、ということが起こるのもしばしばです。痛みの程度は、人によって感じやすい人、感じにくい人もいらっしゃるので一概には言えませんが、中の隙間を埋める処置をすることによって、逆に痛くなって噛めなくなるようであれば、多少入れ歯と土手の間に隙間があったとしても、その隙間を入れ歯安定剤で埋めてあげることによって入れ歯を動きにくくすることの方が、人によっては入れ歯が使いやすい、ということも十分に考えられます。
歯医者さんの中では、人によっては入れ歯安定剤の使用をあまり好ましく思われていない方もいらっしゃいますが、自分の中では入れ歯というのはあくまで患者さんの日常生活やお食事を手助けするための道具の一つにすぎないので、道具の使い方は人それぞれであり、どのような使い方であってもその方の生活をより豊かにするものであればいいと考えています。
なので入れ歯が緩い場合、もちろん調整できつく締めてくれということであれば自分も全力を尽くして対応いたしますが、いや入れ歯安定剤で十分だよということであれば、それはそれでその方が安定剤によって十分に入れ歯を活用していただき、少しでも生活を豊かなものにすることができるのであれば、それも正しい入れ歯の使い方なのではないかと自分は考えています。あくまで、どのような方法をとるにせよ、入れ歯が患者さんのお口の中でしっかりと機能するということを第一に考えて、日々の診療にあたっていきたいと思います。