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2024.09.08
院長ブログ
義歯の卒業
要介護となった高齢者に、それでもなんとか歯を入れてあげたいというご家族にこれまでたくさんであってきました。そのお気持ちはとてもわかるのですが、患者さんご自身が義歯をご自分に必要な道具として認識することが難しい場合には、せっかく新しい入れ歯を作ってもなかなかそのお口の中で使いこなすのは難しいのかなと思います。
また、ご病気が進行していく過程で、それまで消退していた赤ちゃんの頃のおっぱいを飲むときの口をすぼめたり舌先を出したりといった反射がお口の中に戻ってくることがあります。こうなってくると、よりお口の中で繊細なバランスによってお使いいただくことになる義歯の使用は難しくなるため、その反射が出てきたタイミングを、義歯の卒業のタイミングと考えるのも一つの考え方かと思います。
義歯を卒業したからといって、何もお口から食事を取れなくなるというわけではなく、義歯を入れないまま平気でお食事をされている方もいらっしゃるように、食形態や大きさ等に配慮してあげれば、十分に義歯の卒業以降もお口からお食事をとっていただくことは可能かと考えます。